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ITパスポート取得は知識・スキルを得るための手段。取得者2千人突破 常陽銀行の取組み~デジタルリテラシー協議会(Di-Lite)デジタル人材育成セミナー
2024年8月29日、デジタルリテラシー協議会(Di-Lite)は、主に、賛同団体・企業を中心とした人材育成に関する情報交換の場として、第4回セミナーを実施した。常陽銀行 コンサルティング営業部次長 中田智久様をお迎えし、常陽銀行における「ITパスポート取得者2千人超突破の取組みについてご紹介いただいた。本稿では、そのエッセンスをお伝えする。
ITパスポートの資格取得がDXベース人材認定要件。従業員3,000人中2,000人が資格を取得
常陽銀行では、従業員数約3,000人のうち2,000人がITパスポートの資格を取得しています。金融機関ではDXの取組みが進んでおり、特に環境変化が大きい地方銀行においては生き残りをかけた改革の必要性が高まっています。本部・営業店を問わず銀行業務に関わる全員がITリテラシーの向上に取組む必要があります。
また、めぶきフィナンシャルグループ(常陽銀行はめぶきフィナンシャルグループ傘下)の中期経営計画においても「DX戦略・人材育成」は重要テーマです。グループ全体でDXベース人材を3,000人、うち常陽銀行は1,700人と人材育成数の目標も設定し、ITパスポートの資格取得を認定要件としています。
資格取得推奨の“4つの壁”と壁突破の具体アクション
資格の取組み開始当初は取得者数が161名と低迷しましたが、1年後の23年4月には目標の1,700人を達成、同年9月には2,000人を突破しました。
この結果に至るまではいくつかの壁がありました。まず、資格取得が銀行業務から離れたイメージが強くハードルが高かった点、また試験会場数が茨城県内に少ないという問題もありました。さらに、行員が様々な資格取得を要する中で、あえてITパスポートを取得するインセンティブがない点や、IT特有の専門用語が難しいなど、受験サポートの必要性も挙げられました。
これらの壁に対し弊社は、試験会場の確保やITデジタル基本知識を身につける重要性の理解を支援しました。また資格取得者に対する費用補助や校内研修、さらに取得者数を伸ばすために、受験をしても合格できない行員に対して、資格取得講座(e-ラーニング)の無償提供サポートも開始しています。これらの銀行側のアクションに加えて「皆で資格を受けよう」という行員同士の自発的な取組みもありました。
役職別の資格取得状況は、代理クラス以上が7割以上、副支店長・課長クラスは8割以上と上長の積極的なチャレンジが見られています。
ITパスポートは資格取得が目的ではなく、知識・スキルを得るための手段
DX人材育成は、常陽銀行内に限らず、地域のお客様の人材育成にも積極的に関わっていくことが必須のテーマです。
資格取得の効果について行員にヒアリングしたところ「お客様との対話の中で具体的なヒアリングや自信を持って会話・提案ができるようになった」という意見や、「行内のデジタル化による効率化・省力化が理解でき、日常業務への問題意識も向上した」「情報セキュリティの重要性を認識することができた」などが挙げられました。
一方で今後の課題としては、資格取得者数の伸び悩みや、資格取得が業務で生かされず資格自体が目的化してしまう点、またDX上位ランクへのスキルアップの育成などが挙げられます。これらの課題に対して、弊社は今後もロードマップを設定し、資格取得者の数と中身の両軸を推進していきます。
これからも地域DX実現に向けて短期的な足元の課題への取組みから中長期的な企業価値向上支援まで、伴走支援の展開を進めていきます。